夏の脱水症状が膀胱炎の原因に? 予防に適した果物とは

クランベリー 写真提供:Getty Images
今年の夏は、連日の猛暑や不安定な大気の影響により「熱中症」患者があとを絶たない。総務省消防庁が発表した情報によると、7月8日から7月14日の間に熱中症で救急搬送された人は10,913名に上る。

この熱中症にはいくつかの種類があるが、暑さで多量の汗をかき、水分や塩分補給が追いつかなくなる「脱水症状」による熱疲労もそのひとつ。脱水症状になると排尿の頻度が減り、細菌が増殖する時間が長くなるため膀胱炎になる危険性があると、四谷メディカルキューブ・ウィメンズセンター・泌尿器科医の金城真実氏は指摘する。

金城氏によると、膀胱炎は、免疫力が落ちた時や性交渉、疲れや冷え、環境の変化や過度に排尿を我慢するといったことが原因で発症するという。女性は男性と比較すると50倍の患者数ともいわれ、自然治癒する場合も多いが長引くと腎盂腎炎(じんうじんえん)になる可能性もあるとのこと。この病を患って腎臓の周りまで炎症を起こすと、入院しなければならなかったり、重篤化する可能性もあるため、膀胱炎の症状が現れた時はきちんと治療することが大切だと話す。

では、どのように予防すればよいのだろうか。アメリカでは、膀胱炎予防対策として、古くから行われている民間療法のひとつにクランベリーの飲用があるとされ、クランベリーに含まれるPAC-typeAというポリフェノールの一種には、膀胱などの尿路に細菌が付着しないよう抑制する働きがあり膀胱炎の予防効果があると言われている。実際に、体内で増殖する悪い細菌を細胞に付着しにくくし、体外に排出する効果が確認されている事例もあるようだ。金城氏も「実際に通院頻度が減った患者さんがいたり、『かかりにくくなった』という声も聞きますね」とコメントした。

またクランベリーは、大航海時代より、ネイティブアメリカンの生活必需品として親しまれており、食品を長持ちさせたり、染料として活用されていたほか、胃の不調・泌尿器系疾患・ビタミンC不足による壊血病などの治療薬となっていたとされる。昨今では、世界各国の研究チームが医学的見地から研究に取り組み、クランベリーの健康効果について臨床研究も行われているという。このほか、日本国内でもドライフルーツ入りのシリアルやヘルシーバー、グミ、ジュースなどで、クランベリー関連の商品が見られるようになっている。


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