- カルニチンは脂肪酸と結びついて燃焼を進めていく
- 体内のカルニチンは年齢につれて減っていく
- サプリメントのL-カルニチンは日本人には効きやすい
「羊の肉は太らないので、いくら食べても大丈夫」――というので、ラム肉やマトンがダイエット食として人気になったことがあるが、今では下火状態。
というのは、羊の肉には脂肪を燃焼させるために必要な成分のカルニチンが多く含まれているものの、肉類には脂肪が多く含まれており、脂肪はエネルギー量が高いことから、肉類を多く食べると、せっかくのカルニチンの効果を上回るエネルギー量を摂ってしまうことになるから。
L-カルニチンは、体内で脂肪の燃焼を促進する生理活性物質で、中性脂肪が分解されてできた脂肪酸が細胞内になるミトコンドリアでカルニチンと結びつくことによって、エネルギーとして燃焼させるTCA回路に効率よく運ばれていくようになる。
体内ではアミノ酸からカルニチンが合成されて、筋肉の中に蓄積されているが、その量は加齢とともに減少していく。そのために、年齢とともに脂肪を燃焼する力が低下していくようになる。
カルニチンは、サプリメント素材のL-カルニチンとして使われている。サプリメントを使用するのが効果的な摂取法といえる。欧米人に比べて肉食が少ない日本人は体内のカルニチンの蓄積量が少ないので、サプリメントで摂ると効果が出やすくなっている。
用語の解説
- ミトコンドリア
よくある質問
L-カルニチンの「L」は、何を意味していますか?
初めにLがつくサプリメントは天然型のことで、天然型と合成型がある場合に表示されます。カルニチンには体内で脂質代謝に作用するL型と、体内で作用しないD型があります。また、D型にはL型の働きを阻害する作用があるので、L型だけを摂る必要があります。
L-カルニチンは以前は薬だったと聞きましたが、効果が高いのですか?
L-カルニチンは2002年に食品と医薬品の区別をする食薬区分の変更によって、医薬品成分としてだけではなくサプリメントの素材としても使用できることとなりました。医薬品であっただけに有効性が高く、多く摂っている人ほど高いダイエット効果が得られています。たんぱく質と相性がよいので、たんぱく質が多い肉類や魚介類、卵などと一緒に摂ることで効果が高まります。
筋肉の量が多い人ほどカルニチンが多くて、やせやすいのですか?
カルニチンは、身体の中では肝臓で必須アミノ酸のリジンとメチオニンから少し合成されています。そして、筋肉の中に蓄積されているので、筋肉が多い人ほど蓄積量が多くてやせやすく、筋肉が少ない人ほど蓄積量が少なくてやせにくいということができます。
カルニチンは年齢によって減っていきますか?
カルニチンは筋肉の中に含まれているので、年齢が進んで筋肉が減ってくると体内量も減っていきます。それだけでなく、肝臓の中で合成される量も年齢につれて減っていくので、だんだんと脂肪が燃焼しにくくなっていきます。年齢が進むほどカルニチンが含まれている肉食が少なくなることも、太りやすくなることと関係しています。
L-カルニチンのサプリメントを使わずに肉を食べても太らないようにする方法はありますか?
肉を多く食べても太らないということでカルニチンダイエットは人気になりましたが、それと同じ方法か肉食ダイエットです。これは肉類などの動物性たんぱく質を中心にして、ご飯の量を半分にするもので、脂肪を多めに摂っても血糖値が上がりにくくなればインスリンの分泌量も減って、体内での脂肪の合成も蓄積も減るようになります。ご飯を大きく減らすことが成功の秘訣となります。
肉を多めに食べるときに気をつけることはありますか?
肉を食べても太らなければ、いくらでも肉を食べてもよいというわけではありません。血液中の中性脂肪やコレステロールが多くなれば、血管を傷める動脈硬化のリスクも高まります。また、肉類が多くなると腸内細菌の悪玉菌が増えて便通も悪くなるので、善玉菌を増やす作用がある食物繊維が多く含まれる根菜類やいも類、海藻やキノコなども多めに食べるようにします。
- 監修者
- 内閣府認証 NPO法人日本メディカルダイエット支援機構
- イラスト
- 日暮ろこ子