「食前の運動」と「食後の運動」で脂肪蓄積が違う?

食事と運動のタイミングが重要
この記事の概要
  • 食事量と運動量のバランスだけで体脂肪が変わるわけではない
  • 運動の効果が表れにくい人は食事を減らすことを考えがち
  • 効果的な食事と運動のタイミングがわかれば意欲が湧いてくる

内臓脂肪が必要以上に増えるのは、飲食によるエネルギーの摂りすぎか、エネルギーを消費する運動などの活動量が少ないためである、と一般には説明されている。そして、体脂肪を減らすためには、食事量を減らすか、運動量を増やすしかないとも言われている。

適正な食事量、運動量を保つことは大切であるものの、食事によるエネルギー摂取量のプラス分と、運動によるエネルギー消費量のマイナス分という量のバランスだけでは、内臓脂肪を効果的に減らすことは難しい。

同じ運動をする場合でも食事の前にするのか、食事の後にするのか、運動を始める時間がいつなのかによっても、食事と運動による体脂肪の増減量が違ってくる。同じ量の食事をして同じだけ活動しても、太る人もいれば、逆にやせていく人もいることもある。

その理由として、これまでは基礎代謝量の違いだと説明されてきた。筋肉量が多く、基礎代謝量が高ければやせやすく、基礎代謝量が低ければ太りやすいというわけである。

基礎代謝量を高めるためには筋肉運動をして筋肉量を増やすことが大切で、運動不足で、筋肉量が少ない人が基礎代謝量を高めるためには、かなりの時間を要することになる。そのため、運動には取り組まず、食事を減らすことを考えがち。

しかし、同じだけの運動をしてもタイミングよく行えば脂肪分解の量も燃焼の量も違ってくることがわかれば、運動に取り組む意欲も湧いてくる。

用語の解説

脂肪分解

脂肪細胞の中に蓄えられた体脂肪は、運動によってアドレナリンが分泌されたときのほか、インスリン濃度が低下することでグリセリンと脂肪酸に分解される。脂肪酸がエネルギー源として主に筋肉細胞で燃焼する。脂肪細胞の中でも皮下脂肪は分解されにくいが、内臓脂肪は分解されやすい。

よくある質問

「食前の運動」と「食後の運動」では脂肪の蓄積が変わりますか?

食事の前に運動をすると血液中のブドウ糖が不足するので筋肉中のグリコーゲンが分解されてブドウ糖として使われます。そのあとに食事をすると肝臓で作られるグリコーゲンが増えて血糖値が下がり、脂肪の合成量が減ります。食後の運動では血糖値が低めになって脂肪の合成量は減るものの、食事前の運動に比べると少なめになっています。

運動をしてもやせにくいのは、どんな人ですか?

筋肉の量が少ない人は基礎代謝が低いのでやせにくく、太りやすいのですが、筋肉の量が多くても、脂肪が筋肉まで多く届けられなければ、多くの脂肪を燃焼させることができません。運動によって燃焼させたい脂肪は脂肪細胞の中に蓄積された体脂肪です。運動によって体脂肪を分解させるためには、アドレナリンの刺激に反応する受容体が正常に働かなければなりません。その反応がよくないβ3アドレナリン受容体遺伝子タイプの人は、運動の効果が出にくくなっています。

監修者
内閣府認証 NPO法人日本メディカルダイエット支援機構
イラスト
日暮ろこ子
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