脂肪の吸収を抑制するタイプの食物繊維とは?

食物繊維摂ってる?
この記事の概要
  • 不溶性食物繊維は腸を刺激して便通を促進
  • 水溶性食物繊維は脂肪を包み込む
  • 2種類の食物繊維は異なる働きで善玉菌を増やす

日本人の肉食の摂取量は、65年前の戦後直後に比べて5倍以上も増えている。全体量では欧米人に比べると少ないものの、過去の日本人の食事状況から見ると摂りすぎであり、全エネルギー量に占める脂肪のエネルギー摂取量が理想とされる25%を超えている。

摂りすぎの脂肪の摂取量を抑えるとともに、食物繊維を摂ることがすすめられる。食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分けられる。

不溶性食物繊維は、水に溶けないタイプの食物繊維で、野菜の根や葉、穀類などに多く含まれる。消化も吸収もされずに腸を通過する食物繊維で、大腸壁を刺激して蠕動運動を促進するとともに、大腸内での腸内細菌の善玉菌の発酵を進める作用がある。腸内細菌の悪玉菌は動物性たんぱく質と脂肪を主な栄養源として増殖しており、肉類の摂取量が多くなるほど悪玉菌が増えやすくなる。善玉菌が腸内で発酵して増えると、その分だけ悪玉菌が減っていくようになる。

水溶性食物繊維は、水を吸って膨らむタイプで、キノコ、海藻、果物などに多く含まれ、水に溶けることによってゲル状の粘度が高い状態になる。その結果、一緒に摂った食べ物の中に含まれている脂肪を包み込むようにして、吸収されにくくする働きがある。

用語の解説

ゲル状

ゲル(ドイツ語)はジェル(英語)と同義語で、流動性をもった液体が結びついて粘性をもったもの。食品ではゼリー、寒天、豆腐、コンニャクなどがある。

よくある質問

便秘ぎみの人は不溶性食物繊維を多く摂ればよいですか?

不溶性食物繊維は腸を刺激して便通を促進してくれるものの、便を硬くする作用もあります。多く摂りすぎると、かえって便秘になる人もいます。水溶性食物繊維には便を軟らかくする作用もあるので、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を両方とも摂ることが快適な便通のためには必要になります。

水に溶けないものは、すべて不溶性食物繊維ですか?

水溶性食物繊維は「水に溶ける」という文字なので、溶けるものだと思っている人もいるようです。水分を吸ってドロドロに溶けるのではなく、水分を吸って膨らむというのが正確な状態です。そのため、キノコや海藻を長時間、水に漬けておいても溶けてなくなるようなことはありません。

キノコも海藻も食べることが少ないのですが、他に何を食べればよいですか?

水溶性食物繊維は果物にも含まれていますが、その量が少なくなっています。食品に含まれる食物繊維の量は、食品の同じ重量で比べていますが、果物は水分が多く含まれているので、比較すると少なめに見えてしまいます。ところが、ドライフルーツにすると水分が減った分だけ、食物繊維の割合が増えます。おやつ代わりのドライフルーツはおすすめです。

野菜を食べても水溶性食物繊維を摂ることはできませんか?

野菜に含まれるのは不溶性食物繊維だけと思われがちですが、水溶性食物繊維も含まれています。その割合が少ないので、水溶性食物繊維としてあげられてはいません。まったく水溶性繊維が含まれていないわけではないものの、計算に入れなくても問題がない程度の量だと考えてください。

監修者
内閣府認証 NPO法人日本メディカルダイエット支援機構
イラスト
日暮ろこ子
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