- 自律神経を整えて腸管の蠕動運動を促進する
- カルシウムが不足すると蠕動運動が低下する
- マグネシウムは腸壁を適度に刺激する
口に入れた食べ物は、食道から胃、小腸、大腸、直腸の消化管が収縮する蠕動運動が起こって、徐々に先へと運ばれていく。蠕動運動を起こしているのは自律神経で、食べたものが入ってくると、粘膜が刺激を受けて自然に収縮が起こる。
便秘の原因の一つに、蠕動運動の低下があげられる。腸管を刺激するためには一般的には食物繊維の摂取がすすめられるが、カルシウムを摂ることも有効となる。
カルシウムには自律神経を調整する働きがあり、不足すると自律神経の乱れが起こり、イライラするなどの症状が起こることが知られている。自律神経への影響が出るのは精神的なものだけでなく、腸管にも影響を与え、カルシウムが不足すると蠕動運動も低下するようになる。
カルシウムは成人の場合には1日に650mg以上の摂取がすすめられているが、実際の摂取量は国民健康・栄養調査によると20~30%も不足している。650mgが摂れる食品を食べたとしても、吸収されるのは30%ほどで、残りは腸管を通って蠕動運動を起こすのに使われている。
カルシウムとともに自律神経の調整をしているのはマグネシウムだが、マグネシウムは腸壁を刺激して便通を促進する軽微な下剤の役割もしている。
用語の解説
- 蠕動運動
よくある質問
カルシウムのサプリメントを摂れば便通がよくなりますか?
カルシウムとマグネシウムが多く含まれたヨーロッパの硬水を飲むと下痢になりやすいことが知られていますが、カルシウムのサプリメントを多く摂ると腸管の蠕動運動が盛んになって便通がよくなります。ただ、便が硬すぎる人はカルシウムの効果が出にくいので、水分を多く摂り、便を軟らかくする作用がある水溶性食物繊維を多めに摂るといったことも必要になります。
吸収率がよいカルシウムはありますか?
カルシウムは食品でいえば動物の骨に多く含まれています。カルシウムのサプリメントの原料は動物の骨か貝殻などですが、これらのカルシウムは吸収率が約30%となっています。医薬品になっているカルシウムも吸収率は同じくらいです。サプリメントの中には配合成分によって吸収率を90%ほどに高めたものもありますが、カルシウムは通常は吸収率が低いことを意識して、カルシウム源の食品を多めに摂るようにします。
カルシウムは、いつ摂るのが効果的ですか?
カルシウムはイオン化してから吸収されるという性質があります。胃液が強酸性の状態ならイオン化が進んで、吸収されやすくなります。食事をすると消化に胃液が使われる分だけ酸性度が下がって、イオン化が遅れます。その分だけ吸収もされにくいので、吸収率を考えたら、起床してすぐか、食事と食事の間の空腹時、寝る前が効果的です。
牛乳を飲めばカルシウム不足は解消できますか?
牛乳にはカルシウムが多く含まれ、さらにカルシウムの吸収をよくするCPP(カゼインホスホペプチド)が含まれているので、カルシウム源としては優れた飲み物として知られています。しかし、牛乳にはリンが多く含まれていて、リンはカルシウムと結びつくとリン酸カルシウムとなって排泄されます。牛乳だけに頼らずに、他のカルシウム源の小魚や海藻なども摂る必要があります。
- 監修者
- 内閣府認証 NPO法人日本メディカルダイエット支援機構
- イラスト
- 日暮ろこ子