- 代謝がよいために太りにくいが、太ってしまうとやせにくい体質
- 筋肉の量を増やしながら脂肪の摂取量を減らす食生活が有効
- 無酸素運動と有酸素運動の両方が必要
日本人に特徴的な遺伝子3タイプのうち、β2アドレナリン受容体遺伝子タイプの人は、エネルギー代謝が低いために、太った後にはやせにくい特徴がある。若いときにはやせていたが、現在は太っている人に多くみられる。
日本人の約20%が該当し、1日の基礎代謝量は200kcalほど高くなっている。それでも太ったとしたら、食事量が多いか運動量が少ないことが考えられる。父母由来の遺伝子のどちらともが標準と同じワイルド型なっている。
筋肉量が少ないために、運動をしても脂肪燃焼が少ない。筋肉をつけて代謝を高めながらも脂肪摂取を減らすように、低脂肪の肉類、魚介類、たんぱく質の多い豆類を多めに摂るようにする。
肉類には脂肪が多いので、できるだけ脂身の少ないササミ肉か、豚肉は脂肪を取り除いて食べるようにする。食事だけでは筋肉を増やして、代謝を高めることができないため、運動が必要になる。
筋肉をつけるためには無酸素運動をしても効果が得られるまで時間がかかるが、上半身と下半身の筋肉運動は毎日続けたい。見た目の筋肉を増やすことよりも、有酸素運動をして脂肪の燃焼効率がよい赤筋を増やすように、ウォーキングを中心として、できるだけ長く歩くようにする。
β2アドレナリン受容体遺伝子タイプのチェック表
体質チェック
- 太るとやせにくい
- 運動をしても筋肉がつきにくい
- 筋肉運動は疲れやすい
- 以前はやせていた
- 水太りしやすい
- 体重の割には体脂肪が多い
- 運動をしても汗をかきにくい
- 手足がむくみやすい
- 上半身に比べて下半身が細い
- 低血圧になりやすい
生活チェック
- 食事を減らしてもやせにくい
- 食事を抜いても平気
- 甘いものを食べると、すぐに太る
- 間食や夜食を食べる
- 野菜や海藻を食べる量が少ない
- 豆類、ナッツ類、雑穀類などを食べる機会が少ない
- 生活時間が不規則で食事時間も乱れがち
- 食事のあとにゴロゴロしていることが多い
- 継続して歩く時間が少ない
- 定期的に運動をしていない
用語の解説
- ワイルド型
よくある質問
たんぱく質を多く摂るためには何を注意すればよいですか?
肉類は良質なたんぱく質といっても赤身の中に隠れている脂肪は見えにくいので、できるだけ魚介類か卵類、大豆製品(納豆、豆腐など)をたんぱく源にします。昼間に運動をしても実際に筋肉が増えるのは成長ホルモンが多く分泌されている寝ているときなので、たんぱく源は夕食に多めに摂るようにします。
基礎代謝を高めるようにすれば太らないのではないですか?
筋肉が少ない割には基礎代謝量が多いので、本来なら太りにくく、やせやすいタイプです。普通は食べる量が増えると、脂肪が増えても燃焼される脂肪の量も増えていくので、急激に太るようなことはありません。ところが、β2アドレナリン受容体遺伝子タイプは筋肉が少なくて、脂肪の燃焼がよくないので、基礎代謝を高めるための筋肉運動の効果が出にくくなっています。有酸素運動によって脂肪の燃焼も高めにくくなっているので、食事量のコントロールが大切です。
β2アドレナリン受容体遺伝子タイプの人が太りやすい時期はありますか?
食事量が少なく、運動量が多い20代、30代では太っていないのですが、40代になると急に太り出して、なかなかやせられないのが、このタイプの特徴です。下半身が細くて、上半身だけ太っているという体型になります。40代からは基礎代謝も低くなっていくので、この時期に太らない努力をすることが大切です。この時期を超えれば、それほど急には太らなくなるので、太り始めたときにストップをかけるように食事の量を抑えるようにすることです。
年齢が進んでから太ったβ2アドレナリン受容体遺伝子タイプの人の特徴はありますか?
妊娠可能な年齢の女性は、内臓脂肪が多くなりすぎると子宮が大きくなれないために、内臓脂肪がたまりにくく、皮下脂肪が多くなります。40代になって急に太った人は、通常の皮下脂肪だけでは脂肪がためられないので、背中に脂肪がつくようになります。上半身が太っているだけでなく、お腹にも背中にも脂肪がつくのが、このタイプの特徴です。
- 監修者
- 内閣府認証 NPO法人日本メディカルダイエット支援機構
- イラスト
- 日暮ろこ子