日本人が“口の中”で味を調整している理由とは?

薄味派を心がけよう
この記事の概要
  • 濃い味付けはご飯の量が進む
  • 日本人は口の中でおかずとご飯で味を調整している
  • 薄味でもおいしく食べる工夫でご飯の量を減らそう

東北の料理の味付けが濃いのは塩分が多く使われているからだが、それは塩分を濃くすることで保存性をよくするとともに、濃い味によって主食のご飯を多く食べるためでもある。

1日に使われるエネルギー消費量の約70%を占める基礎代謝のうち約80%は生命維持に必要な体熱を発生させるために使われている。

ご飯に含まれるブドウ糖は早く消化され、エネルギーとなるのも早いことから、ご飯を多く食べることで体熱を多く発生させ、寒さを乗り切るために、おかずの塩分が濃くなった。東北の味付けほどではなくても、濃い目の味付けの料理では、ご飯の量が多くなりがち。

日本食の食べ方は、口中調味といって、おかずを口に入れ、味が濃かったらご飯を口に入れて、逆に味が薄かったら味噌汁を口に入れる、というように一口ずつ、自分の好みの味に調整している。

そのため、味が濃い料理を食べたときには、どうしてもご飯の量が多くなる。ご飯が多くなると血液中のブドウ糖が増えて血糖値が上昇して膵臓から分泌されるインスリンの量が多くなる。

このインスリンによって肝臓での脂肪合成と、脂肪細胞への脂肪の蓄積が高まるので、食べすぎを抑えるために味付けには薄味の工夫が必要となる。

用語の解説

薄味の工夫

舌で味を感じる味蕾のうち、塩味は表面で感じる。舌に塩が触れることで塩味を感じするので肉や魚は食べる前に塩を振るという工夫が有効。汁物はだしを多くする、味を濃く感じる香ばしさ(焦げ味)を活かす、柑橘類の酸味を加えるといった工夫でも、薄い塩味をおいしく味わうことができる。

よくある質問

塩分が多い食品には、どんなものがありますか?

味噌や醤油、ソース、梅干しや漬物、干物、つくだ煮、ハム、ソーゼージ、チーズなどのように塩味が濃いものは塩が多く使われていることを実感して減らすことができますが、他の食材と一緒になると塩分に気づきにくくなります。インスタント麺はスープだけでなく麺にも多く含まれ、パン、ピザ、コーンフレークといった加工食品にも多く含まれています。

少ない塩分でもおいしく食べられるようにするアイデアはありますか?

塩味は舌の先の表面で感じるので、食材の表面に塩がついているだけでも塩味を感じて、おいしく食べることができます。だから、塩は調理の最後のほうにかけるようにします。焼く前につけると塩が中に染み込みます。煮物では、もっと染み込むので塩分を減らしたいときには煮物の塩分には注意が必要です。

汁物の塩分を減らす方法はありますか?

味噌汁やスープは味が濃いほうがおいしく感じるので、どうしても塩が多く使われがちです。汁物の塩分を減らすには水分の量を減らして、具を多くします。いわゆる具だくさんのものにして、食材の味によって塩分が少なめでも、おいしく感じられるようになります。だしや酸味も塩分が少なくても、おいしく感じるのに役立ちます。

塩分を多く摂るとダイエットに悪い影響はありますか?

下半身に水分がたまるむくみは塩の中に含まれるナトリウムによって起こります。ナトリウムには水分を溜め込む働きがあるので、ナトリウムが多くなるほどむくみやすくなります。ナトリウムを排出させるのはカリウムの働きで、このミネラルは野菜に多く含まれています。

ご飯を食べてもインスリンが多く出ないようにする方法はありますか?

インスリンは血液中のブドウ糖が増えて血糖値が上昇すると膵臓から分泌されるので、ブドウ糖が含まれているご飯を食べれば少なからずインスリンは分泌されます。インスリンの量を増やさないようにするためには血糖値の急上昇を抑えるのが一番で、食物繊維が多いものを一緒に食べて、消化を遅くさせるようにします。

監修者
内閣府認証 NPO法人日本メディカルダイエット支援機構
イラスト
日暮ろこ子
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