私たちの生活と切り離せないことのひとつに「病い」がある。多くの人が患った経験がある風邪や、増加傾向にあるガン、原因が明らかにされていない難病に至るまで、私たちはさまざまな病気に侵される可能性がある。
医学の進歩により、薬品による治療や手術で病状を回復し、一命を取り留めることができるケースもあるが、その一方で、病気の発症を未然に防ぐ「予防医学」の研究も行われている。
去る5月29日、都内にて行われた、雪印メグミルク主催のセミナー『ガセリ菌 第一回セミナー ~ガセリ菌SP株に関する最新研究情報のご紹介~』の中でも、「予防医学」に関する話題があった。
同セミナーは、ヨーグルト需要が高まる時期を前に、雪印メグミルクのヨーグルト『ナチュレ 恵 megumi』に配合している乳酸菌「ガセリ菌SP株」を、より多くの人に知ってもらい、理解を深めてもらう目的で行われたもの。
セミナーには、雪印メグミルク ミルクサイエンス研究所の川崎功博氏と、北海道大学 遺伝子病制御研究所 プロバイオティクス・イムノロジー研究部門の宮崎忠昭氏が登場し、「ガセリ菌SP株」についてそれぞれの研究結果を発表した。
このうち、北海道大学 遺伝子病制御研究所 プロバイオティクス・イムノロジー研究部門の宮崎忠昭氏が話したのは、「健康への乳酸菌の役割 ~ガセリ菌SP株の可能性~」だった。
まず宮崎氏は、“疫(えき)すなわち、病気を免れる”ことが「免疫」であると説明。続けて、免疫細胞には、リンパ球(T細胞、B細胞(抗体をつくる)、ナチュラルキラー細胞)、微生物を取り込む食細胞(マクロファージ、好中球、樹状細胞)、好塩基球(炎症、アレルギーに関与)、マスト細胞(アレルギーに関与)があるという。
このうち、食細胞が取り込む微生物のひとつとして、ヨーグルトなどの発酵乳製品に広く利用されている乳酸菌をあげ、乳酸菌によって免疫細胞を活性化させることは「予防医学」そのものだと話した。
また宮崎氏は、「免疫力を高める方法」がふたつあるとし、ひとつ目は「笑うこと」だと発表。笑うと、脳の前頭葉からの免疫活性化に働く神経ペプチドが分泌され、ナチュラルキラー細胞の活性が上昇するという。
ふたつ目は「恋をすること」。ドキドキわくわくすると、副交感神経と交感神経がバランス良く切り替わり、腸管の細胞接着抑制やウイルス・毒素の中和につながる抗体「免疫グロブリンA(IgA)」が活性化するとのこと。
このほか、自身の研究データと合わせて、「乳酸菌によるインフルエンザ予防効果」や「乳酸菌による免疫機能の活性化」、「乳酸菌による寿命の延長効果」について話したあと、最後のまとめてとして『みなさん、毎日、笑って、恋をして、腸管免疫機能を活性化させて、長生きしましょう!!』と締めくくった。
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