気象庁が梅雨入りを発表したものの、雨が降らない日が続いていた日本列島。だが、去る6月8日に発生した台風三号の影響により、本格的な「梅雨モード」に突入した。
梅雨時期に気になることはいくつかあるが、その中でも特に注意したいのは「食中毒」だろう。雨量の増加で湿度が高くなると、細菌の増殖が活発化し、食中毒の発生が増える傾向にあるといわれている。
家庭において、食中毒を予防するのはもちろんだが、飲食店や学校、介護施設などで、サルモネラ菌やボツリヌス菌、ビブリオ菌による食中毒が発生したというニュースは多い。実際に先月5月には、鹿児島県や岩手県、北海道、茨城県の飲食店や介護施設、保育園などで、ノロウイルスによる食中毒が相次いだ。
私たちは、家庭も含め、多くの人たちに向けて食品を提供する場所で、食中毒を防ぐために、どのようなことが行われているのか、きちんと知っておく必要がある。よく耳にする言葉として、「アルコール消毒」が挙げられるが、はたして、その殺菌効果はどの程度のものなのだろうか。
日本食品洗浄剤衛生協会によると、アルコール製剤(エタノールを主剤とする食品機械器具洗浄剤)は、食品の保存以外に、食中毒菌をはじめとして多くの菌に対して殺菌作用があるという。このほか、食品用の機械器具に対して金属の腐食性が少なく、分解が困難な機械などに対しても噴霧して使用できるため、さまばさまな場面で利用されているようだ。
また、同協会は「アルコール(製剤)の殺菌効果」について、芽胞を除くすべての細菌に有効だという。病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、サルモネラのような食中毒菌に対しては、瞬間的な殺菌力を発揮。カビ、酵母に対しては、前述の菌よりは死滅させるのに若干時間がかかる傾向がある(ただし、長くても数秒程度)と、同協会のサイトで発表している。
このアルコールよりも殺菌効果が高いといわれる「弱酸性次亜水」という消毒水もあるという。この水を生成できる装置に関するセミナーが、6月11日から14日まで開催されているイベント『FOOMA JAPAN 2013』で開かれた。
「弱酸性次亜水」とは、家庭用の漂白剤や殺菌剤として販売されている次亜塩素酸ナトリウムを、弱酸性にコントロールした殺菌作用がある水だ。この水を生成できる装置『サラファインウォーター』を製造・販売する株式会社タクナミによると、同装置でつくった水は、アルコールでは殺菌できない、芽胞菌やノロウイルスなどの殺菌効率が高く、アルコールよりも低コストだという。
アルコールと弱酸性次亜水の比較はさておき、まな板や食器、食材、食品に触れる手など、私たちの「食」に関するすべてのものに、菌やウイルスが発生する可能性がある。何らかの方法で対処しなければ、食中毒に侵されてしまう恐れがあるのだ。そういったことをきちんと理解し、正しい予防法を実行して、梅雨や夏を健やかに過ごせるように心がけよう。
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