社団法人全日本コーヒー協会は、9月6日、都内にて『第17回 コーヒーサイエンスセミナー2013』を開催した。
同イベントは、コーヒーに関する理解と知識を広める目的で実施されている催し。17回目となる今回は、「コーヒーの抗糖尿病作用及び抗肥満成分の効果」を明らかにすべく、3名の研究家による講演を実施した。
まず始めに、全日本コーヒー協会 広報・消費復興委員会 委員長の熊谷和広氏による挨拶が行われたあと、ひとり目の研究家である、岐阜大学 大学院医学系 研究科の永田知里氏が登場。永田氏は、複数のランダム化比較試験の結果を統合して検討するメタアナリシス分析(Huxley R, et al. Arch Intern Med 2009)をもとに、コーヒー摂取と糖尿病のリスクについて、コーヒー1杯につき7%、糖尿病のリスクが軽減することを発表した。
続いて、ふたり目の研究家である、東京大学大学院 農学生命科学研究科 博士課程在学中の高橋祥子氏による講演が行われた。高橋氏は、高脂肪食誘導性肥満モデルマウス(C57BL/6J)に、脂肪由来熱量60%の高脂肪食と、高脂肪食に各種コーヒー粉末を2%添加した食餌をそれぞれ9週間、自由摂取させるという研究を実施。その結果、高脂肪食によるマウスの体重増加と、脂肪重量増加および肝臓への脂肪蓄積が抑制されたことを話した。
最後に、三人目の研究家として、名古屋大学大学院 生命農学研究科 教授の掘尾文彦氏が、「モデル動物を用いたコーヒーの抗糖尿病作用の解析」と題した講演を行った。まず掘尾氏は、のどの渇きや尿の量・回数の増加のほか、尿に糖が出るなどの症状が現れる糖尿病(2型糖尿病)について説明。掘尾氏によると、糖尿病は「インスリン分泌不全」と「インスリン抵抗性」が複雑に組み合わさることで発症し、インスリン分泌力の低下が糖尿病の原因のひとつであるという。
そのうえで、モデルマウスに水とコーヒー、水とカフェイン溶液、水とコーヒーとカフェイン溶液を与えるという3つの実験を行った研究結果として、コーヒーおよびカフェインの摂取は、インスリン作用を向上させる効果があったことを発表した。
このほか、セミナー参加者に配布された、社団法人全日本コーヒー協会の小冊子には、以下のような内容が紹介されていた。ここではその一部を抜粋する。
■コーヒーのダイエット力
・太りやすい人は自律神経の働きが弱い
・コーヒーが自律神経の働きを促進するのに役立つ
・カフェイン入り、カフェインレスとも、
顕著に脂質代謝を亢進することが認められた
■コーヒータイムをダイエットに活かすポイント
1:空腹時に香りを楽しむ
2:寝る前には飲まない
3:食後のコーヒーは、それ以後には間食はしないというサイン
4:コーヒーを飲んでから運動する
なお、小冊子は希望者にのみ1部100円で、社団法人全日本コーヒー協会が予約販売を受け付けている。
目次