7月と言えば、「七夕」や「海の日」などの記念日が広く認知されているが、7月14日が「ゼラチンの日」だと知っている人はいるだろうか。
今から10年前の2004年、日本ゼラチン工業組合は、ゼラチンがフランス料理やデザートによく使用されている点に着目し、フランス共和国の成立を祝う「パリ祭」と同じ7月14日を「ゼラチンの日」に制定したという。
この「ゼラチンの日」にちなんで、7月11日に開催された「ゼラチンレシピの料理セミナー」では、料理家・食育アドバイザーの西山京子さんが講師として登場。西山さんは、これまでにゼラチンをデザート作り以外にも料理に活用したレシピ本を出版していたり、個人ブログ「ちょりまめ日和」でさまざまなゼラチンレシピを公開しているママブロガーでもある。同セミナーに参加した人たちは、粉ゼラチン商品「ゼライス」を用いた、家庭ですぐに役立つゼラチンレシピを、西山さんから教わることができた。
ゼラチンを利用したレシピ本があったり、ゼラチンの料理セミナーが実施されているようだが、具体的にどのような料理に活かせるのか、いまいち想像できない人もいるだろう。そこで、管理栄養士・医学博士の本多京子氏に、ゼラチンを料理にプラスすることで、どのようなメリットがあるのか、いくつか質問を投げかけてみた。
――ゼラチンが料理に役立つ食材として話題を集めているらしいのですが、そもそもゼラチンはどういったものなのでしょうか。
ゼラチンは、ゼリーを固める以外にも、料理に役立つ特徴をいろいろ持っています。ゼラチンは、コラーゲンの主成分になる動物性のタンパク質です。コラーゲンは、アミノ酸が長く連なってできたタンパク質の一種で、加熱・精製することによってバラバラになり、消化吸収されやすいゼラチンになります。
――ゼラチンと相性がよい料理は、どんなものがありますか?
ゼラチンを料理に加えることで、とろみが出て、コクとまろやかさが増すと考えられるので、汁物やジュース、煮込み料理の隠し味に、粉ゼラチンを加えるのがオススメの使い方ですね。また、ゼラチンの保水性も特徴のひとつです。パンケーキの生地やお米を炊くときに粉ゼラチンを加えると、しっとりとしたモチモチの食感になります。パンバーグや餃子のタネに混ぜると、肉汁の旨味がとじ込められてジューシーな仕上がりになります。
――最後になりますが、ゼラチンを摂るときのポイントがあれば教えてください。
ゼラチンを摂るときは、他のタンパク質食品(卵、肉、魚、大豆、乳製品など)や、ビタミンC、鉄分も一緒に摂るように心がけましょう。体内でのコラーゲンの働きを助けてくれます。また、ゼラチンは高タンパクで無脂肪なので、健康的なダイエットのために賢く利用したいものです。
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本多氏から、ゼラチンの性質や料理での活かし方を教わったところで、今度はコラーゲン研究の第一人者といわれている、東京農工大学名誉教授の藤本大三郎氏に、「コラーゲンの性質」などについて、お話を伺った。
――コラーゲンに関する専門的な知識をお持ちの藤本教授にお聞きします。肌とコラーゲンの関係性を教えてください。
肌は、真皮と表皮から構成されているのですが、シワやたるみは、真皮のコラーゲンと関係があります。真皮ではコラーゲン繊維が絡み合い、弾力構造を作っていますが、20歳を過ぎると、このコラーゲン繊維の量が毎年1%ずつ減少していくと言われています。
――では、コラーゲンでできているゼラチンを食べると、肌にどのような影響があるのでしょうか。
ゼラチンを食べると、分解してできる小ペプチドの作用や、コラーゲン合成に大量に必要なプロリンとグリシンが供給されるため、肌のコラーゲン合成が促進されると考えられます。また、肌のくすみの主な原因は血行不良といわれていますが、ゼラチンが分解してできる小ペプチドやアミノ酸の中に、血液循環をよくする作用をもつものがあります。
――ゼラチンは、ダイエットに向く食材だという情報があるのですが、その理由をご存知でしょうか?
ゼラチンは、ダイエットに効果があると長いこと言われてきました。その理由は、ゼラチンが純粋なタンパク質でありながら、無脂肪であること。また、水を大量に抱え込む性質から満腹感を得やすいため、食事の量が抑えられることがあげられます。
――ゼラチンは、肌の合成や血液循環に有効で、無脂肪なのに満腹感を感じやすい食材ということですね。教えていただき、ありがとうございました。
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