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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第61回 iPhone 6 の「ヘルスケア」アプリが健康管理デバイスの世界を変える

iPhone 6 のホーム画面。最下段左に「ヘルスケア」アプリがあ
2014年9月23日(火) 12時00分 提供元: RBB TODAY
iPhone 6 のホーム画面。最下段左に「ヘルスケア」アプリがあ
iPhone 6 のホーム画面。最下段左に「ヘルスケア」アプリがあ
「ヘルスケア」アプリのダッシュボード。ユーザーが選択した健康データが一覧表示される
「ヘルスケア」アプリのダッシュボード。ユーザーが選択した健康データが一覧表示される
「ヘルスケア」アプリで「健康データ」をタップすると、カテゴリ別に収集した(したい)データの選択画面に
「ヘルスケア」アプリで「健康データ」をタップすると、カテゴリ別に収集した(したい)データの選択画面に
収集できる「健康データ」は非常に多く、現時点でも68項目が用意されている。現状では多くは自分自身で数値を入力することになるが、対応アプリ(サービス)が出てくれば項目によっては自動収集も可能になるだろう
収集できる「健康データ」は非常に多く、現時点でも68項目が用意されている。現状では多くは自分自身で数値を入力することになるが、対応アプリ(サービス)が出てくれば項目によっては自動収集も可能になるだろう
「ヘルスケア」アプリの「メディカルID」に自分自身の緊急時に役立つ健康情報を登録しておくと、画面ロック時の緊急発信画面からこの「メディカルID」を見ることができる
「ヘルスケア」アプリの「メディカルID」に自分自身の緊急時に役立つ健康情報を登録しておくと、画面ロック時の緊急発信画面からこの「メディカルID」を見ることができる
画面ロック時でも閲覧できる「メディカルID」。万が一道端で倒れていても、これで必要最小限の情報が確認できる。
画面ロック時でも閲覧できる「メディカルID」。万が一道端で倒れていても、これで必要最小限の情報が確認できる。
Wi-Fi接続により体重や体脂肪率を計測できるWithingsの体重計とその連携アプリ。現状は専用アプリ(写真)で過去の計測データを確認できるか、こうしたデータもいずれアップルの「ヘルスケア」に連携し、そちらから管理できるようになるのだろう
Wi-Fi接続により体重や体脂肪率を計測できるWithingsの体重計とその連携アプリ。現状は専用アプリ(写真)で過去の計測データを確認できるか、こうしたデータもいずれアップルの「ヘルスケア」に連携し、そちらから管理できるようになるのだろう
ウェアラブル端末等の連携にも期待したい。筆者が愛用しているサムスン電子製「Gear Fit」は残念ながらサムスン製スマホとしか連携できない。こうしたメーカー間の囲い込みに専用デバイスが用いられるのがこれまでの通例だったが、スマホOSでポータル化されることで、ユーザー自身がウェアラブル端末やサービスの選択の自由も広がるはず
ウェアラブル端末等の連携にも期待したい。筆者が愛用しているサムスン電子製「Gear Fit」は残念ながらサムスン製スマホとしか連携できない。こうしたメーカー間の囲い込みに専用デバイスが用いられるのがこれまでの通例だったが、スマホOSでポータル化されることで、ユーザー自身がウェアラブル端末やサービスの選択の自由も広がるはず

 iPhone 6/6 Plus(iOS 8)のホーム画面を見ると、これまでのiOSになかった新たなアプリ「ヘルスケア」の存在に気がつかれた方も多いだろう。

 iOSに標準で搭載される、いわゆる「標準アプリ」はすでにホーム画面に収まらないほどの数になっており、2ページ目にアイコンが並んでいるものもある。しかし、今回新たに追加された「ヘルスケア」アプリは、あえてホーム画面に置かれている。それほどアップルはこのアプリを重視していることになるが、アップルのヘルスケアビジネスへの真剣度は歓迎するとして、これ自体がヘルスケアに関連する各種アプリや健康管理デバイスのポータル(玄関)となることで、ITを用いたヘルスケア・健康関連サービスが大きく変わる可能性も秘めているのではないかとみた。

■大幅に拡張の自由度が増したiOS 8

 iPhone 6/6 Plus、そしてiOS 8を使い始めて数日が経った。iOS 8では、過去のiOSとは比べものにならないほどの新API(アプリプログラミングの際に使用できる機能)が増えている。たとえば、文字入力ソフトウェアはこれまでiOSに標準で組み込まれたものしか利用できなかったが、iOS 8からは、サードパーティが作る文字入力ソフトウェアを選択することが可能となった。すでに、手書き認識エンジンで定評のあった「mazec」や、Baidu Japanの日本語文字入力アプリ「Simeji」などの提供が始まっている。

 さらに、アプリ同士の連携、すなわちアプリと別のアプリが連携できるようなシステム拡張も行われている。

 なかでも、筆者はiOS 8で新たに搭載された標準アプリである「ヘルスケア」の可能性に注目している。iOS 8では「HealthKit」というツール(API)が用意され、健康に関わるあらゆるデータをiOSに連携できるようにしている。HealthKitを利用したアプリケーションを開発し、たとえばウェアラブルデバイス等で生体情報を収集し、iPhone等に情報を蓄積できるようなアプリを作ることもできれば、逆にiPhone等に蓄積されているヘルスケア情報を活用できるアプリの開発も可能のようである。

■ユーザーのヘルスケア情報のポータルとなる

 「ヘルスケア」を起動すると、「ダッシュボード」と名付けられたユーザー自身のヘルスケアデータを一覧表示するページが表示される。日毎、週毎、月毎、年毎で変化を見ることができる。ダッシュボードに表示させるヘルスケアデータは、ユーザー自身で選択できるようになっており、頻繁に確認したいデータをダッシュボードに並べるようにできる。

 ではHealthKitではどのようなデータが扱えるのかを「ヘルスケア」アプリの「健康データ」をタップし、その内容を見てみよう。「健康データ」をタップし最初に現れる画面は、カテゴリ別にHealthKitで扱えるものを分類している。「バイタル」や「フィットネス」「栄養」「検査結果」など現状は7分類されている。「すべて」をタップすると、カテゴリとは関係なく、HealthKitに対応した全ての項目を一覧できる。その数はなんと68項目(2014年9月22日現在)。生年月日や身長、栄養素など、多岐に渡る。そしてこれらのデータは自分自身で入力することも可能だが、連携できるアプリが今後サードパーティから提供されるようになれば、多数の項目で「自動的な記録」が可能になってくる。

 たとえば「歩数」は、iPhoneに内蔵されるセンサーから自動的に記録されるが、これもサードパーティのものに切り替えることも可能となっている。

 まだiOS 8自体がようやく登場したばかりなので、対応したアプリがほとんど無いのが現状だが、これまでヘルスケアデータを収集するアプリやサービスが、このアップルのHealthKitに対応することで、これまでアプリごとにバラバラに管理されていたユーザーのヘルスケア情報が、この標準アプリ「ヘルスケア」で全て一元管理可能になるのだろう。

 筆者の場合、Withings製のWi-Fi搭載体重計を使用しており、同社の提供する「Withings」アプリで体重の管理を行っていたが、これがHealthKitに対応してくれれば、「ヘルスケア」アプリで他のヘルスケア情報(歩数や消費カロリーなど)と同時に閲覧できるなど、一元管理が可能になってくる。HealthKitの対応はきっと近いうちに実施されるものと期待を持っている。

 さらに、ここに集積されたユーザーのヘルスケアデータを利用したアプリの開発も可能なようだ。たとえば、健診等で健康に関する助言をするような際に、この「ヘルスケア」にある程度の継続的な健康管理データが記録されていれば、それを参照することでより的確な助言もできるはずである。医療情報として活用するにはデータの信頼性が問われることになるが、それでも参考程度には様々な活用が考えられるであろう。

 生体情報を収集するウェアラブルデバイスとそれを管理するアプリなどは現在、各メーカーや各キャリアからそれぞれ提供されているが、その管理はそれぞれのメーカーやキャリアに依存せざるを得ず、一元管理できないのが面倒に感じていた。とくにメーカー依存のものは、他のメーカー製の機器に買い替えたために、それまで蓄積した生体情報を継承できないケースも少なくなかった。

 では、こうした生体情報をどこが一元管理すれば良いのかという解のひとつが、「スマートフォンOS」ということになるのだろう。当然、GoogleもAndroid OSで同じような展開を図ってくることがすでに伝わっているが、逆にこの2大スマホOSにヘルスケア関連ハードウェアや、サービスが連携してくれば、機器を買い替えたり、サービスやキャリアを乗り換えた場合にも、データの継承に期待が持てよう。

 今回、iPhone 6/6 Plusの発表とともに、Apple Watch(2015年以降発売)もお披露目されているが、こうした「ウェアラブルデバイス」は身体に密着させて常にユーザーと行動を共にするものであり、単に歩数や心拍といった情報に留まらず、さまざまなユーザー情報を収集することが可能になっていくだろう。生体情報を収集するヘルスケア関連機器やウェアラブルデバイスの開発には、今後様々なメーカーが参入が予想される。これまでに想像もできなかったようなユーザーの情報を取得するデバイスも登場することも考えられるだろう。しかし収集されたデータは、あくまでユーザー自身のプライベートなデータである。従って、ユーザー自身がデータを一元管理できることが重要であり、またそうしたデータを活用する場合(医師やトレーナー等から助言を受けたい時など)、やはり一元管理されていたほうが利用しやすいはずだ。そうした点で、今回、iOS 8で利用可能になった「HealthKit」と「ヘルスケア」アプリは、今後のITヘルスケア業界にも大きな影響を与えそうな予感がする。

 ちなみに筆者も各種ウェアラブル系デバイスを試しているが、中でもお気に入りは、サムスン電子製の「Gear Fit」である。腕時計型デバイスも様々なものを試したが、このGear Fitは軽くて装着感も悪くなく、好みは分かれるだろうが筆者としてはデザインもかなり気に入っている。しかし、大変残念なことは、対応するのがサムスン製スマートフォンに限られることである。Gear Fitを使うためには、サムスン電子製スマートフォンを使わざるを得ない。本音を言えば、このGear FitもiOS 8の「ヘルスケア」でデータを管理できれば嬉しい限りだが、両社の関係を考えるとそう簡単ではなさそうだ。

《木暮祐一@RBB TODAY》
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