2月23日、都内にて『子宮頸がん オンラインメディアラウンドテーブル』が行われた。
同イベントは、医療用医薬品やワクチンなどの開発・製造を行っている株式会社MSDが、子宮頸がんに関する情報を伝える目的で実施した、メディア関係者向けのセミナー。
セミナーに登壇した、相模野病院婦人科腫瘍センター長の上坊敏子氏は、まず始めに、「子宮頸がんで苦しむのはもったいない!!」と伝えた。
上坊医師によれば、子宮頸がんは原因や発がん過程が解明されている病気で、早期に発見すれば確実に治すことができるという。また、検診手段が確立され、予防ワクチンもある予防可能ながんだが、子宮頸がんになる若い女性が増えており、高齢者では進行例が多く、死亡率が高いことにも触れた。
続けて上坊医師は、子宮頸がんの原因が「ヒトパピローマウイルス(HPV)」で、性交渉の経験がある女性の80%程度が、1生に1度は感染するものだと説明。感染しても1~2年で90%が自然に消失するが、感染が持続すると、5年以上かけてがんに進行することがあり、発がん性HPV感染者の約0.1%(1,000人に1人)が「浸潤がん」になるケースもあるらしい。
上坊医師は「HPV感染を予防するワクチンの接種」と「検診を受けることで、がんになる前に発見する」ことが子宮頸がんの予防法だという。
日本では、2013年4月にHPVワクチンが定期予防接種化したが、子宮頸がん予防ワクチンの接種による重い副反応が報告されたことで、現在、厚生労働省は、予防ワクチンの接種を積極的に勧めていない。
この件について上坊医師は、厚生労働省が発表している、副反応報告数を紹介し、重篤な副反応件数は「10万人に3人」と話したあと、ワクチンの接種と検診によって防ぐことが可能な子宮頸がんの割合を伝えていた。
上坊医師の講演後、特定非営利活動法人日本がん・生殖医療研究会で、患者ネットワークを担当している、阿南里恵氏が登壇。阿南氏は、23歳のときに子宮頸がんが見つかり、抗がん剤、出術、放射線治療を行って、5年間の経過観察中に体験したことを語った。
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