【澤田裕のさいくるくるりん】自転車がテーマのフリマには、創造の神が宿っていた

来場者と会話を交わす出展者。「やっちゃばフェス」は同好の士とのコミュニケーションの場としても役立っている
2015年10月16日(金) 14時00分 提供元: CYCLE
来場者と会話を交わす出展者。「やっちゃばフェス」は同好の士とのコミュニケーションの場としても役立っている
来場者と会話を交わす出展者。「やっちゃばフェス」は同好の士とのコミュニケーションの場としても役立っている
事務机の上に並んだ雑誌やパーツ、ウェア類。文化祭の模擬店、あるいはフリーマーケットといった雰囲気が漂う
事務机の上に並んだ雑誌やパーツ、ウェア類。文化祭の模擬店、あるいはフリーマーケットといった雰囲気が漂う
「りんりん通信」を作ったわたまるさん。最新号では手賀沼のコース紹介とヘルメットのにおい取り研究を特集
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『いきなりロングライド!!~自転車女子、佐渡を走る~』の著者、アザミユウコさんも出展。彼女は本職のマンガ家&イラストレーターということで、『いきなり~』は書店にも並ぶ
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「Andriders」のブースに置かれたロードバイクを囲む来場者。はたしてその理由は?
「Andriders」のブースに置かれたロードバイクを囲む来場者。はたしてその理由は?
パッと見てわかるのは、後輪のハブ近くにスマートフォンがセットされていることだけ
パッと見てわかるのは、後輪のハブ近くにスマートフォンがセットされていることだけ
前後のギヤの組み合わせのうち使わないものは、任意に削除することができる
前後のギヤの組み合わせのうち使わないものは、任意に削除することができる
当日の15時30分からは、出展者が提供した景品が当たるビンゴ大会も行われた
当日の15時30分からは、出展者が提供した景品が当たるビンゴ大会も行われた
会場となった通運会館の前では、会場に訪れたサイクリストが談笑
会場となった通運会館の前では、会場に訪れたサイクリストが談笑

10月4日に秋葉原で「やっちゃばフェス」が開催されると教えてもらい、足を運んでみました。このイベントは自転車や飲食物をテーマとした即売会・展示会・フリーマーケットということで今回が5回目。会場となった通運会館は、電気街の一画にありました。

さっそく中に入ってみると会議室がいくつもあり、囲むように並んだ事務机の上に冊子や雑誌、本、ウエアやバッグ、自転車のパーツなどが並んでいて、なんだか文化祭の模擬店のよう。出展者によっては机にカバーを掛けたりと多少の飾り付けをしていますが、そのままというところが大半で、肩ひじ張らない雰囲気が漂っています。まずはどんなものが展示されているかと、ひと通り見て回ることにしました。
最初に立ち寄ったのが、「りんりんくらぶ」というサークル。そこで代表を務めるわたまるさんに話をうかがいました。ロードバイク歴はまだ2年とのことですが、自身で手がけた冊子「りんりん通信」の最新号はVol 2.5(「.5」の意味は…。すいません、聞きそびれました)。彼に限らずコミックマーケットなどで冊子やキャラクターグッズを制作&販売した経験のある人が、自転車に目覚めて今回のイベントに参加したというケースが多いようです。だからサイクリングに出かけることもレースに参加することも、そして冊子やグッズを作ることも等しく楽しんでいる印象。いわば自転車が格好の"おもちゃ"になっているというわけです。

執筆や編集を生活の糧としている僕にとって、余暇をつぶしてというのは思いもよりませんでした。しかしこの場に集った人たちは、時間だけでなく資金も投入して冊子や本を作っているのです。これは自転車ではなく飲食物関連のものでしたが、まるでプロはだしという凝った装丁の本もあり、いったい何冊作ったのかと聞くと「1500部」と、やはり趣味の世界を逸脱した答えが返ってきました。たとえ"おもちゃ"であったとしてもそれが単なる自己満足ではなく、読む人や使う人のことを意識した"作品"あるいは"商品"となっていることを、あちこちのブースで思い知らされました。

とある会議室の隅にはロードバイクが置かれ、そこに何人もの人が集まっています。興味をひかれて近づいてみると後輪のハブ近くにスマートフォンがセットされているだけで、別段変わった様子はありません。いったい何かと思ったら、これがなんと自動変速機。速度やペダルの回転数を検知し、最適なギヤの組み合わせを決めているようです。変速機そのものも、機械式の既成品にモーターなどを装着して改造したということにまずビックリ。
加えてスマートフォンに搭載したアプリの開発は本業ということで、前後のギヤの組み合わせのうち使わないものを任意に削除できるなどメーカー顔負けの機能も有しています。そのアプリではルートラボとグーグルマップを連動させ、実際の走行においてシームレスに使えるようにした「ルートラボビューワ」も開発。こちらはすでにグーグルプレイに登録されています。

マウンテンバイクはアメリカの若者たちが既存の自転車を改造し、それで山を駆け下ったのが始まりとされています。趣味の延長線上で作った"おもちゃ"も、そこに情熱が注がれ続けるとやがて"作品"や"商品"になる…。これは1970年代後半も今も変わらぬものとして、創造者たちに受け継がれているというわけです。

《澤田裕》

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