企業や自治体が遺伝子検査を健康推進に活用する時代……MY CODE

株式会社DeNAライフサイエンス 大井潤代表取締役社長
2015年10月22日(木) 18時00分 提供元: HANJO HANJO
株式会社DeNAライフサイエンス 大井潤代表取締役社長
株式会社DeNAライフサイエンス 大井潤代表取締役社長
MYCODEの検査キット外観
MYCODEの検査キット外観
検査キットの内部
検査キットの内部
産学連携の研究成果を新しいビジネスに
産学連携の研究成果を新しいビジネスに
ユーザーの気づきと行動変容
ユーザーの気づきと行動変容
検査結果の例
検査結果の例
検査結果の例(傾向分析)
検査結果の例(傾向分析)

 最先端の遺伝子検査サービスを研究する東京大学医科学研究所と提携し、2014年4月に設立された株式会社DeNAライフサイエンス(本社・東京都渋谷区)。

 同社は遺伝子検査キット「MYCODE」(マイコード)の販売を同年8月に開始。東大医科学研究所との共同研究は、文部科学省と独立行政法人科学技術振興機構が推進する「革新的イノベーション創出プログラム」で「ヘルスビッグデータを用いた健康長寿イノベーション」として選定されている。

 唾液を返送するだけで、疾患発症リスクを抑えるための参考となる情報が判明するという同社の遺伝子検査。今回、株式会社DeNAライフサイエンスの大井潤代表取締役社長に「MYCODE」と「健康経営の取り組み」についてお話を伺った。

 「遺伝子検査の役割は、病気の治療ではなく、個人の体質や“生まれ持った健康上のリスク”を調べるためのもので、健康に対する気づきを得られる事が大きなメリットなんですよ」と語る大井社長。

 現時点の健康状態を知る「検診」とは異なり、将来、病気が発症する可能性を知るサービスが遺伝子検査であるといい、大井社長は「人間の病気の発症ついては『遺伝3割、環境7割』と言われていますね」と語る。

 同社が「MYCODE」を提供するにあたり、最も重視しているのが「倫理」と「セキュリティ」。大井社長によれば、同社ではISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を導入し、「倫理」と「セキュリティ」に関する第三者委員会を設置。昨年9月に取得した外部認証機関による認証の基準を守り、サービスを運用しているという。

 これまでの検査実績は非公開であるものの「男女比は半々で、層としては30代から40代の男性が多い印象ですね」と語る大井社長。「MYCODE」では280種類もの検査項目があり、三大疾病(癌・急性心筋梗塞・脳卒中)をはじめとする「病気」と肥満や肌質といった「体質」に関する遺伝的傾向を知る事ができる。現在、フルパッケージである「ヘルスケア」のほか「がんパック」「ディスカバリー(「体質」と祖先のルーツ)」といった価格の異なるバリエーションがあり、今後も「目的に特化したパッケージをより一層出していく予定」だという。

 従業員の健康の増進による生産性向上を目指す「健康経営」の側面からも着目され、現在、全国の数十社が購入時の助成を行っているという「MYCODE」。社員の遺伝子検査を推進している企業に向け、大井社長は「小規模な会社ほど従業員が健康を害した時のダメージは大きく、経営の観点からも健康管理が大事です」といい「あくまでも『強制』にならないように活用して欲しい」と語る。

 地方自治体でも「MYCODE」の活用が進んでいる。神奈川県の「未病市場創出促進事業」に採択されたほか、新潟県三条市では同サービスを活用した市民への遺伝子検査助成プロジェクトが始まった。「健康意識を高めていただければ何より。検査後にタバコをやめたという報告や、検査をきっかけに検診に行き病気の早期発見に繋がったという報告をいただくたび『このサービスをやっていて良かった』と思います」と大井社長。

 日進月歩で進化を続ける遺伝子の解析技術。大井社長は「最新の研究結果を常にアップデートしてサービスに反映させます」といい「その時々の最新科学に基いて『正しいものを届ける』のが我々の義務」と明言。「もともと我々はウェブサービスの会社なので『ITを使って個人が健康に関心を持ち、行動を起こすエンパワーメント』として『MYCODE』を提供したいですね」と語った。

 臨床データや科学的エビデンスが十分とはいえない遺伝子検査だが、その事実を踏まえた上であれば、健康のリスクマネジメント手法のひとつとして考えることができる。今後、企業による従業員の健康管理、国や自治体による医療費削減への応用に期待したい。

《オフィス本折/H14》

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