地域ごとで違う!?日本各地の出汁文化

地域ごとで違う!?日本各地の出汁文化
2019年8月29日(木) 12時15分 提供元: 食育ずかん
地域ごとで違う!?日本各地の出汁文化
地域ごとで違う!?日本各地の出汁文化

和食に欠かせない「出汁」。
その主な原料として知られているのは、かつお節や昆布、煮干しですが、地域によっては違った節類でさまざまな味が楽しまれています。
【かつお節だけではない!節類いろいろ】
日本で魚類を原料とする出汁が誕生したのは奈良時代と言われ、「堅魚」と呼ばれたかつおの煮干しのようなものが登場したという記録が残っています。
節類は「かつお節」、「まぐろ節」、「雑節」、「煮干し」の4つに分かれ、幅広く料理に使われています。
●かつお節
昆布とならび、日本料理の出汁の主原料です。
かつおを煮てからいぶし、乾燥させて作られています。
クセが少なく、上品な味と香りの出汁がとれます。
●まぐろ節
キハダマグロを原料とした節で、鹿児島県や静岡県で多く作られています。
血合い抜きのものがよく使われるため、削ったものは白っぽいのが特徴です。
透明度が高く、クセのないさっぱりとした上品な味の出汁がとれるので、色をつけたくない椀物などに使われます。
関東では「めじ節」、関西では「しび節」とも呼ばれています。
●宗田節
ソウダガツオを原料とした節で、「めじか節」とも呼ばれています。
高知県の西部に位置する土佐清水市、熊本県、鹿児島県が生産地として有名です。
かつお節と比べ血合いが多く、色も味も濃厚な出汁がとれるのが特徴です。
中部・関東地方では、かつお節やさば節などと混ぜてうどんやそばの出汁としても使われています。
●さば節
主に脂の少ないゴマサバを原料とした節で、静岡県、熊本県、鹿児島県、和歌山県などで作られています。
さば節として流通することはほとんどなく、削られた状態で売られているのが一般的です。
宗田節と同様にうま味の濃い出汁がとれ、味にコクを出します。
雑味が少なく、あっさりとした味ですが、風味が飛びやすいのでかつお節や宗田節と合わせてよく使われています。
●むろあじ節
ムロアジを原料とした節で、中部地方でよく使われています。
熊本県・鹿児島県が生産地として知られていますが、以前に比べて生産量は少なくなってきています。
まろやかで甘み、コクのある出汁がとれ、魚臭さが少ないのが特徴です。
出汁は黄色みをおび、味はさば節よりもさっぱりしています。
●いわし節
主にカタクチイワシを原料とした節で、マイワシ・ウルメイワシを使っても作られています。
関西でよく使用され、煮物・みそ汁・うどんなど、さまざまな料理に使われます。
●煮干し
小魚を水洗いし、海水程度の塩水で煮てから乾燥させたものです。
カタクチイワシを使ったイワシ煮干しが多く出回っていますが、ウルメイワシ・マイワシでも作られます。
そのほか、トビウオを使った「アゴ煮干し」や「アジ煮干し」、「サバ煮干し」、「サンマ煮干し」などがあります。





【地域ごとでかわる「出汁」】
地域によって使われる出汁の種類は、原料である、かつお節、煮干し、昆布の歴史を知ることで分かってきます。
では、それぞれの原料はどのように全国へと広がっていったのでしょうか?
かつお出汁
かつお節の産地である高知県、鹿児島県、静岡県はもちろん、江戸時代から食文化の発達した滋賀県(大津)、岐阜県、京都府、愛知県(名古屋)なども古くからかつお節文化が根づいています。
しかし、かつお節の需要が多い西日本に位置しながら中国地方は需要が少ない地域です。
これは、瀬戸内海は煮干し、日本海側は北陸地方までアゴの産地であることからだと考えられています。
かつお節消費量全国1位は沖縄県です。
これは、その昔中国(明・清)などへ輸出されるかつお節の中継港であったこと、太平洋戦争のときに水産業を積極的に行ったことが要因とされています。
このことから、かつお出汁が沖縄の食文化に根づいて行きました。
煮干し出汁
煮干しの発祥地は、黒潮に乗ってイワシが押し寄せる九州・四国の沿岸地方とされています。
江戸時代になると出汁への関心はどんどん高まって行きましたが、かつお節や昆布は高級品で一般の家庭ではかんたんに手に入れることは出来ませんでした。
そこで、かつお節の代用品として普及し始めたのが、安価で量産されていたイリコです。
「これは商売になる!」と気づいた大阪の商人が豊後水道・瀬戸内海沿岸の漁民にイリコを作るための援助を行ない、商売に繋げて行きました。
大阪はかつお節・昆布の出汁を使う文化があったので近畿地方ではなく、北陸・中国・四国・九州地方を中心に商圏を広げたことから、その地域に煮干し出汁の文化が根づいて行きました。
昆布出汁
昆布は、室町時代に北海道から日本海を通って北陸の敦賀・小浜に運ばれたり、陸路と琵琶湖の水運を利用して京都へ運ばれていました。
この時代に、精進料理が発達していた京都を中心とする近畿地方はもちろんのこと、船が寄港する日本海沿岸の港町に昆布の習慣が根づきました。
海上交通が盛んになった江戸時代になると、船は関門海峡・瀬戸内海を経由して、商業の中心地である大阪まで運ばれるようになりました。
その後、昆布は江戸・九州・沖縄・中国(清)へと運ばれ、そこで出汁としてだけでなく、独特の昆布食文化が生まれました。
関東地方は昆布が運ばれてくるのが遅かったため、全国的にみても昆布の消費量が少ない地域となっています。
下記に、それぞれの地域でよく食べられている出汁について簡単にまとめてみました。
●北海道・・・かつお節、昆布、煮干しなど
●東北地方・・・煮干し中心、さば節など
●関東・甲信越地方・・・かつお節、さば節、昆布、煮干しなど
●中部地方・・・さば節、むろあじ節など
●関西地方・・・昆布、かつお節、さば節、煮干しなど
●中国・四国地方・・・煮干し、焼きアゴ、かつお節など
●九州地方・・・煮干し、焼きアゴなど
●沖縄県・・・かつお節、昆布など
出汁を取るのは面倒だなと感じている人もいるかもしれませんが、最近では出汁パックや顆粒出汁もさまざまな種類が売られています。
それらも上手に活用し、普段の食生活に出汁をとり入れてみてはいかがですか?
Text by まち/食育インストラクター

《ShokuikuZukan》

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