糖質の代謝の仕組み

ATPはエネルギー
この記事の概要
  • ブドウ糖は貯蔵のグリコーゲンのほかにエネルギーとなる
  • 細胞内のミトコンドリアでエネルギーが作られる
  • 有酸素系代謝では解糖系代謝の16倍のエネルギーが発生する

食品に含まれる糖質の中のでんぷんは、消化酵素によって単糖という最も小さなサイズのブドウ糖にまで分解される。そのあと、小腸から吸収されて血液中に入り、肝臓や筋肉などの組織にグリコーゲンとして蓄えられる。

それ以外のブドウ糖はエネルギー源として使われる。ブドウ糖をエネルギーにするのは細胞内にある小器官のミトコンドリアで、ブドウ糖がエネルギーに変換されるときには、2つの系統を経ている。1つは体内に取り込まれた酸素を使わないままエネルギーとする解糖系の代謝で、もう1つは酸素を使う有酸素系の代謝。

ブドウ糖は酵素の働きによってピルビン酸に変化するが、その過程でエネルギーが発生する。解糖系の代謝ではブドウ糖1分子当たりで、2分子のエネルギー物質であるATP(アデノシン三リン酸)が発生する。

酸素が使われない場合のほかに、激しい運動によって酸素が不足したときにも解糖系のエネルギー代謝が行われる。ピルビン酸は酵素の働きによって補酵素のアセチルCoA (アセチルコエンザイムエー・アセチルコエー)変換され、これがミトコンドリア内のTCA回路に入る。この回路でできたクエン酸が酸素との反応によって次々と変化し、二酸化炭素を発生させたあと、水と36分子のATPを発生させる。有酸素系の代謝では実に16倍のエネルギーが作られることになる。

用語の解説

ATP

ATP(アデノシン三リン酸)は、アデノシンに3個のリンが結合したもので、リンの1個が分解されてADP(アデノシン二リン酸)となるときにエネルギーが発生する。植物の場合は光合成によって発生する。動物の場合は摂取したエネルギー源のブドウ糖がミトコンドリアの中で酸化するときに発生する。ATPは短時間で消費されるため、ADPからATPに再合成されて繰り返しエネルギーが発生する。

よくある質問

酸素を吸い込む量は多くなるほど糖質が多く燃えるようになりますか?

激しい運動をすれば吸い込む酸素の量が増えていきますが、急激な運動は酸素不足を起こして不完全燃焼になって、逆効果になります。糖質を効果的に燃焼させるためには、最大酸素摂取量の50%以下のウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。

有酸素運動のダイエット効果は年齢によって変化しますか?

有酸素運動をすれば多くの酸素が肺までは入っていきますが、肺から血液中に取り込まれる酸素の量は年齢を重ねていくにつれて減っていきます。年齢によって基礎代謝が低下していきますが、血液中に送られる酸素の量が減ることも合わさって、有酸素運動の効果も低下してしまいます。

クエン酸を多く摂っておけばエネルギーが多く作られるようになりますか?

ミトコンドリアの中のTCA回路ではクエン酸から始まって、アコニット酸、D-イソクエン酸、α-テトグルタル酸、スクシニル酸、コハク酸、フマル酸、L-リンゴ酸、オキサロ酢酸と次々に変化をして、最後にエネルギーのATPを発生させています。クエン酸が含まれた食品を摂ることで、TCA回路の中のスタートのクエン酸が増やせるので、それだけエネルギーが作られやすく、不完全燃焼によって作られる乳酸も減らすことができます。クエン酸はサプリメントの素材にもなっていますが、食品では柑橘類や梅、黒酢などに多く含まれています。

酸素を多く吸い込む運動をするのではなく、他のものでTCA回路の働きをよくする方法はありますか?

酸素によってブドウ糖は燃焼しやすくなるので、酸素を多く吸い込むようにするのがエネルギーを多く作り出すためには必要です。しかし、酸素は吸い込む量には限界があり、酸素の代わりに多く摂ることが考えられているのは水素です。TCA回路の中でクエン酸から次々と違う酸に変化していくときに水素が使われています。水素が含まれた水を飲むことによって、酸素の量を増やさなくてもブドウ糖の燃焼を進めることができるようになります。

監修者
内閣府認証 NPO法人日本メディカルダイエット支援機構
イラスト
日暮ろこ子
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