富士山が世界文化遺産として登録されたことをきっかけに、登山にチャレンジしてみようと思っている人は多いのではないだろうか。
とはいえ、登山はだれでも気軽にできるレジャーとは言い難く、危険がつきもの。また、世界遺産に登録されたことで「入山料」の導入も検討されている。
そこで、山岳・自然分野のメディア事業を手がける出版社・山と溪谷社は、富士山の緊急アンケートをインターネットで実施。6月18日から7月1日までの間に1,947名からの回答を得て、その結果を発表した。
まず『富士山に登ったことがありますが?』とたずねたところ、「山頂まで登った」が59%、「途中まで登った」が10%、「未経験」が31%という結果に。
続いて『安全な富士登山のために必要だと思われることは?』を聞くと、「登山者へのマナーや登山知識の啓発」が87%で、「登山者集の規制」が58%、「登山届けの提出義務化」が38%という回答率だった。
上記の問いに対する回答者の意見として「TVや雑誌などで高山病などの危険や難易度の高い山であることの周知拡散や、登山用品店なども富士山は簡単な山と言っている店が多いので、その方面からも意識改革が欲しい」というものがあったり、「夏の事故は問題にならない程度だが、冬の事故の登山者の無知が起因している。事故の情報をネットで積極的に出すべき。隠している、あるいは公開に消極的と思える」など、富士登山への注意を呼び掛けてほしいという声が多かった。
また『富士山の入山料についてどう思いますか?』という問いには、79%が「賛成」で、7%が「反対」、12%が「どちらともいえない」と、大多数が賛成。
賛成者のうち、「賛成だが、できれば徴収時にルールやマナーの試験? 問題みたいな物をして欲しい。その時点で酷い物は山に入れない!! 呼びかけても気にしてない者は聞いてない、気にしてる人は事前に勉強している」と入山料の支払いだけでなく、登山の危険性や注意点を学んでほしいという人もいれば、「お金を取ることには反対ではないけれど、金さえ払えば何してもOKと捉える勘違い登山者が出てくるのが目に見えているのが不安要素。また、そのうち『入山料分割引!』とうたう低サービスの登山ツアーが出てきて、入山料自体の意義が薄れていってしまうことも懸念すべき」など、入山料の支払いがトラブルを生み出すのではないかと、心配する人もいた。
そこで『入山料はいくらが妥当と考えますか?』と質問したところ、もっとも多かったのは、2,000円から3,000円の部分で、3,000円未満に意見が集中。その一方で、1万円以上でも良いという人が5%いた。
富士山に関するさまざまな議論がとびかっているが、これがきっかけとなり、登山そのものの危険性やマナー、山の環境保全や安全対策などが見直される、絶好のタイミングにもなりそうだ。